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美術史についての
個人的解釈
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「自然描写から造形表現への移行」について、自然描写はフェルメールの段階ですでに頂点に達していましたが、この移行は19世紀の半ばから20世紀の中頃(第二次世界大戦の前後)までヨーロッパ特にパリを中心に始まりそして進行しました。始まりはクールベ、コローらの自然描写に対して、絵画の表現手段としての「色彩」に注目したマネ、モネ、ドガ、シスレー、ピサロら印象派の画家たちの出現です。印象派の新しさは「色彩」を絵画を成り立たせる独立した一つの要素として認識したことです。そのことによって絵画は「固有色」から解放され、「色彩」は自然を描写する手段としてだけでなく、絵画を成り立たせる一つの要素として様々に使われるようになりました。とは言え、印象派は色彩は解放しましたが絵画の構図として従来通りの透視図法を基本としていたので、画家たちはまだ自然描写の延長上で制作を行っていました。
​ その後、「色彩」に続いて「形」を自然描写から独立させようという試みが行われるようになります。セザンヌは透視図法から離れ、自然を四角く切り取った窓のような絵画とは異なる、自然の再現ではない一つの独立した世界としての絵画をめざしました。そしてセザンヌ以降透視図法から離れた絵画表現をさらに模索したのがピカソ、ブラックらの立体派です。
​ ピカソのキュビスム時代の作品は透視図法的な表現を意図的に徹底して排除しているように見えます。それでいて静物や人物など、何を描いたのかが分かる作品になっています。つまり伝統的な透視図法を使わずに如何にして現実を絵に描くかという、不可能と思えるような大変な試みを行っているように見えます。

 

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